ニュージーランドの蜂の子

ニュージーランドといえば、マヌカハニーやプロポリス、ミツバチ花粉など蜂製品が有名ですが、蜂の子についてはほとんど知られていません。今回は、ニュージーランドの蜂の子や昆虫食についてご説明します。

蜂製品と蜂の子

ニュージーランドは、日本の企業や個人までもが進出する養蜂業の盛んな地域のひとつです。しかし、蜂はマヌカハニーやローヤルゼリー、プロポリスの生産に使われるだけで、蜂の子を食べるという習慣はありません。養蜂に使われるのは西洋ミツバチで食用にされるスズメバチなどの大型の蜂とは種類は異なります。ニュージーランドにスズメバチのような大型で獰猛、大きな巣を作る蜂がいないわけではありません。日本の山間地域で蜂の子が貴重なタンパク源となっていたのは、海からも遠く運搬も不便な地域であったため、他からタンパク質を得られなかったということがあります。ニュージーランドでは他にもタンパク源として食用に適した動物や昆虫がいますので、危険な蜂を食用にする必要がなかったということが考えられます。

ニュージーランドの昆虫食

オーストラリアやニュージーランド、周辺の島々は熱帯または亜熱帯に属しており、たくさんの昆虫が生息しています。先住民のアボリジニーはボクトウガやコウモリガ、ヤガなどの幼虫を食用にしています。観光を目的として、ガの幼虫のスープの缶詰も販売されています。しかし、昆虫食についての資料がなく、かつてハワイやニュージーランドで、昆虫食が行われていたという記録が残っているだけで、過去でも現在でもそれほど昆虫食は行われているものではありません。
ニュージーランドでも将来の食糧危機に向けた動きは始まっています。「ナッツのような味わいで、初めて食べる人は気づかない」というコオロギを食用として取り入れはじめています。形に対する抵抗感をなくすためにコオロギを粉末にしたクリケットパウダーをレシピと一緒に販売することで反響も良いようです。タンパク質と鉄分は牛肉の約2.5倍、ビタミンB12はサーモンの約2倍など栄養価も高いことが人気につながっています。かつては海のゴキブリといわれたロブスターが高級食材となっていますので、昆虫食の一般化にも大きな期待が寄せられています。

ニュージーランドでは蜂の子は食用にはなっていません。昆虫食もほとんど行われていなかったため、やっとスタート台に立ったところです。もっとも身近なコオロギからスタートしていますので、基幹産業の養蜂ではたくさんの蜂の子が扱われていますので、次の昆虫食の食材として期待できます。