宮崎県の郷土料理蜂の子そうめん

おやきや五平餅、へぼ飯、蒸篭飯など、日本各地に蜂の子を使った郷土料理があります。宮崎県の蜂の子そうめんも珍しい郷土料理の一つです。今回は、その蜂の子そうめんについてご説明します。

蜂の子獲りはおとこのたしなみ

宮崎県の北西部、熊本県との県境に位置する椎葉村は、椎葉のマチュピチュと呼ばれる森林に囲まれた山間の村です。仙人の棚田として知られる幾重にも重なった美しい棚田での農作業の合間、蜂の子獲りは男たちの遊びであり、たしなみとされています。険しい山間の集落にとって、蜂の子は貴重なタンパク源の一つとなっており、その伝統が今も守られています。蜂の繁殖期のお盆過ぎから晩秋にかけて、男たちは蜂の子獲りに山に入ります。大きなオオスズメバチが主ですが、キイロスズメバチなどを獲ることもあります。オオスズメバチは体調が4~5㎝程もある大型の蜂で、毒性が強く、攻撃性も高い危険な蜂です。江戸時代頃から食べられるようになったと言われますが、防護服のない時代の命を懸けた危険なたしなみに驚かされます。
お盆を過ぎるころ、クヌギなどの樹液を採りに来る蜂を見つけます。蜂に白く細長いビニール片を付けて、それを目印に追いかけます。蜂は真っ直ぐ飛んでいきますので、追いかけるにはチームワークが大切です。声をかけながら、蜂の先回りをするようにひたすら走り回ります。巣を見つけたら、煙でいぶして蜂を追い払い、蜂の巣を獲ります。苦労して手に入れた蜂は最高の味です。

蜂の子そうめんの作り方

蜂の子そうめんは、椎葉やとなりの諸塚では蜂汁と呼ばれています。作り方は簡単ですのでご紹介します。

  1. 蜂の子を油で炒めます。
  2. よく火が通ったら、お湯と醤油などを加えて味を整えます。
  3. そうめんを加えて煮込みます。
  4. そうめんが軟らかくなったら、おわんにもりつけて出来上がりです。 彩に似た野菜などを添えるといいでしょう。

蜂の子の出汁がよく出てバターを加えたような濃厚な味わいです。蜂でしか出せない独特の風味があり、さっぱりした後味はクセになります。仕事の合間に獲れる蜂の量は限られています。収穫状況にもよりますが、ムジナやマムシなども食べられているようです。時期を確認して行ってみてはいかがでしょうか。

蜂の子そうめんは宮崎県の郷土料理ですが、作り方は非常に簡単で、ご家庭でも手軽に作れます。冷凍の蜂の子が通販でも購入できますので、試してみてはいかがでしょうか。